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新聞をコミュニケーションツールにする新聞屋〈長島敏行さん〉- やぶひと Vol.01
初めまして。ライターの伊木(いき)です。
養父市役所に新設された社会的処方推進室の皆さんと一緒に、2023年8月からお仕事をしています。その中で養父市内を中心にさまざまな活動をしている人たちにお話を伺っていて、すごく魅力的な人がたくさんいることに気付かされました。この記事は個人的な視点で、地域内の活動を「人」にフォーカスしてご紹介するシリーズです。
新聞、読んでいますか。
小学生の頃はテレビ欄と4コマ漫画だけは絶対に見ていたし、高校生の頃は1面のコラムを読んでいた記憶がある。正直にいうと、今は購読もしていなければ最近こどもが絵を描くときに下敷きにしたくらい。同じような方も少なくないのではないでしょうか。
事実、この20年で新聞の発行部数は激減している。数字にすると約180万部。これは大手新聞社1社の年間発行部数に相当します。つまり皆さんが聞いたことのある「〇〇新聞」がひとつまるっとなくなっているのとイコール。これまで「新聞社は安定しているし、潰れるはずがない」というイメージだったが、そんな神話はいつの間にか崩れ去っていました。
参考記事▷新聞発行部数の推移|東洋経済 ONLINE
コミュニケーションツール"新聞"
その新聞にこれまでとは別の角度でアプローチする方が養父市にいます。長島敏行(ながしまとしゆき)さん。神戸新聞広谷大屋専売所の所長で日々、新聞の販売や配達をされています。出会ったのは長島さんの【まわし読み新聞】という活動がきっかけでした。そして今では新聞でバッグを作る【しまんと新聞ばっぐ】のインストラクターとしてメディアや各地のイベントでも見かけるように。
どちらも「新聞を読んでください!」という活動ではないんです。「どうせ新聞屋さんがやるんだから」と思いがちですが、長島さんはこの活動をしている中でいわゆる営業のようなことはほぼしません。まずは「楽しい」を入り口にして新聞に触れる機会を創ることでその価値を知ってもらおうと活動されています。
鬱から独立、そして各地へ飛び回る新聞屋さんへ
長島さんは養父市出身、在住。鬱になり家に引きこもっていたとき、購読している神戸新聞の〈チャレンジ経営者募集〉という記事に応募したことが現職につながっています。以前の仕事で災害支援を経験したことで地域活動になればという想いもあったそう。すでに独立から6年が経ち、新聞バッグの活動は5年以上継続されています。
今では近隣の小中学校や高校、市内外のイベントなど各所で出張ワークショップを実施しながら新聞に触れる場を創り続けています。お話を聞くときも事務所に入らせてもらうと、バッグに使う取っ手のパーツや紙面のストックがたくさん。「はじめは先が見えないので苦戦するが形になってくるとすごいいい笑顔が見れる」とワークショップの参加者さんについて話す長島さん。通常業務もありながら「基本的には翌日の配達に間に合えば行きますよ」とのこと。忙しいのにすごい行動力。
長島さんの大切にするもの
新聞ばっぐの活動にはもうひとつ、長島さんが大切にされていることがあります。それは折り方や作り方と一緒に「考え方」も伝えていくこと。そもそも【しまんと新聞ばっぐ】はこの「考え方」も大切にすることが理念として含まれています。長島さんはそれを受け継ぎ、環境保全や社会福祉の側面についてもワークショップで伝えて続けています。この話を聞いたとき「きっとこれこそが長島さんの熱意の根源なんだろうなあ」と改めて実感しました。
ついこの間は「養父神社の写真を撮りに行くなら作らなきゃ!と出掛ける前にパパッと折って持ち出しました。」とSNSに投稿された写真。養父神社が舞台となっている新聞の挿絵を正面に折られた新聞バッグを、養父神社の紅葉を背景に撮影したものでした。楽しみ方は無限大。新聞バッグという選択肢がこの地域にあることが本当に素敵なことだと思います。これからも長島さんの活動を応援します!
養父市周辺で新聞バッグを作っているのを見かけたら、きっと長島さんがインストラクターをされているはずなので「記事読みましたよ」と声をかけてみてください。
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神戸新聞広谷大屋専売所|電話:079−664−2880
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